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「こんにちはー!」
なんだか急に家が騒がしくなった。そういえば天使たちが「友達と遊ぶ」と言っていたような。うちで遊ぶ約束だったのか。
「ゆづ、入るぞ」
天使の声がした。入る前に確認をとるなんて珍しい。
天使だけが入ってくるのかと思えば、悪魔や2人の友達と思われる男の子たちまで入ってきた。男の子が2人いるが、この間話に出ていた和希と直太という子だろうか。
それより、この部屋で遊ぶ気か?
「ここの部屋で遊ぶのはダメだからな。下で遊べよ」
天使たちはぽかんとしている。
「何故わかった?」
「ゆづ……エスパー……」
「入るぞ、なんて普段は確認をとらないじゃないか。エスパーじゃなくてもわかるぞ」
ほら、遊ぶなら下、と4人のちびっこを追い出すと部屋が静かになり、代わりに下が賑やかになる。「……あとで何か遊ぶものでも持っていってやるか」
お人好しな由鶴であった。

4、5歳くらいの子って何をして遊ぶのだろう。
考えた末、出た答えはドミノだった。押し入れから出してみた。ドミノの遊び方を教えたらすぐにはまった様子で並べては倒すを繰り返す。はじめは見ているだけだった由鶴もいつの間にか一緒になって遊んでいた。途中で千鶴も参加した。外が晴れていたので昼からは外で遊ぶことにした。なわとびを3つほど繋げて長くして跳んだ。
みんな楽しそうで、小さい子と遊ぶのもいいものだな、と思えた、そんな1日。
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「水着を買いに行きましょう」
母さんが突然こんなことを言い出した。もうすぐ幼稚園でプールが始まるのだが、天使と悪魔は水着を持ってないので買いに行こうと言うのだ。
「ついでにちづちゃんとゆづくんの分も買いましょう」
「水着とは何じゃ?」
ああ、そうか。この2人は水着も知らないのか。
説明をしようと思って口を開きかけると悪魔が部屋を飛び出していった。少し経ってから戻ってきた悪魔は、何故か国語辞典を持っている。
「水着……泳ぐとき、着る物……?」
国語辞典で調べなくても教えるのに。
「泳ぐとは水の中でこう、バシャバシャッとすることじゃろう?」
「それは知ってるのか」
「そりゃあ向こうでやってみたこともあったからの」
今の話の流れだと……。何か嫌な予感がする。

「そうなんだ。プールで? それとも海?」
「……もちろん雲……」
慌てた由鶴は悪魔の口を手で押さえる。悪魔はもごもご言っている。ギリギリセーフだっただろうか?
「部屋とかで真似してやってみただけなんだよな?」
天使が本当のことを言ってしまいそうだったので、な? ともう一度、今度は語調を強めて聞く。
そうすると天使と悪魔は渋々といった様子で頷いた。
「じゃあプールは初めてなんだね。そうだ。お母さん、せっかく新しい水着を買うんだから夏休みになったらみんなで泳ぎに行こうよ。海でもプールでも」
「いいわね。みんなで行きましょうか」
「わーい!」
夏休みに海かプールに行く(もしかしたら両方行くかもしれない)ことが決まり大喜びした千鶴は天使と悪魔に海やプールについていろいろ教えた。2人はそれを興味津々に、目を輝かせて聞いていた。

翌日、天使と悪魔、由鶴と千鶴の水着を買いに行き、天使と悪魔の2人はワンピース型の水着をそれぞれ買ってもらった。色は、天使は白で、悪魔は紺にした。2人とも気に入っているらしい。
「ゆづ兄ちゃーん、ここ教えてー!」
「僕も自分の勉強がしたいんだけど……」
由鶴と千鶴はテスト勉強の真っ最中。天使と悪魔は2人の邪魔にならないように隅のほうで遊んでいた。由鶴は千鶴に解き方を教えてから自分の勉強に戻る。
「数学、基礎問題は解けるんだけど応用問題がなかなか解けなくて」
「……すう、がく……?」
数学という言葉に反応した悪魔は千鶴のそばへ寄っていった。天使も悪魔のあとについていく。
「ボクにも……見せ、て」
千鶴が使っている数学の教科書を指差す。
「クロちゃん、これが見たいの?」
頷いたあと、千鶴から教科書をもらう。
「これ……わか、る」
「わかるの? すごい! ゆづ兄ちゃん、クロちゃんがこの問題わかるって!」
「これならワシもわかるぞ」
悪魔の横から覗いていた天使もわかると言い出した。そんなバカなと思いながらも由鶴は2人に紙と鉛筆を渡す。すると2人はすぐに答えを書き込んだ。答え合わせをしてみると、
「あはは……全部合ってる」
千鶴は、すごい、と言って天使と悪魔の頭を撫でた。
問題を解いたことに満足したのか、次に悪魔は苦笑いをしている由鶴のそばへ行く。机の上を見ると数学の教科書とノート、問題集が置いてあった。ちょうど由鶴も数学を勉強していたらしい。ノートを覗いて、あ、と声をこぼした。
「間違い……ある」
まさかと答え合わせをしてみると、悪魔の言う通り間違いが1問だけあった。
「すごいね、クロちゃん。もしかしたらゆづ兄ちゃんより上かもね!」
えっへんと威張るポーズをとる悪魔に敗北感を感じた由鶴。
「ねえ、2人とも。わからないところがあったら教えてくれる?」
その上悲しいことに、もう用無しになりかけていた。

後日、天使と悪魔にはそれぞれ得意科目と苦手科目があることがわかった。
落ち込みかけていた由鶴はというと、千鶴からちゃんと必要とされていることがわかり立ち直ったらしい。
「嫌じゃ!」
「入れ!」
天使と和希は今日も口喧嘩をしていた。一方の悪魔はというと、直太や他の友達と一緒に楽しく遊んでいる。相変わらずあまりしゃべらないが。
「あーちゃんもこやつに何か言ってやってくれ!」
「直太もなんでそこにいるんだよ!」
「……2人とも、仲良くした、ら?」
「そうだよ。そのほうが楽しいよ」
「本当は……仲、良いのに」
「仲良くない!」
天使と和希の喧嘩を止めに入らないのは、周りから見れば楽しそうに遊んでいるように見えるからだ。喧嘩から勝負事になり、かけっこをしたり鉄棒をしたりで何気に2人とも楽しんでいる。和希が仲間というのにこだわるから喧嘩になるわけで、仲良くしたいという気持ちは同じだろう。言ってしまえば素直になれないだけである。
「……仲間にこだわること、ない。友達、ならてんちゃんもいい、でしょ……?」
ね、と悪魔と直太は言う。
「まあ、友達ならいいぞ」
「……なおが言うなら」
和希は渋々といったようすだが、直太が仲良くしようと言うので頷いた。
「じゃあみんなで鬼ごっこしようよ」
「……てんちゃん、かずちゃんの2人、鬼ね」
直太が提案した鬼ごっこは、天使も和希も素直に楽しかったと言った。

「今日から新しいお友達がふえました。白ちゃんと黒ちゃんです」
 楽しみにしていた幼稚園。そこで天使と悪魔は思った。
 子どもばかりだ、と。
 自分たちも子どもではないか、と思われるかもしれないが2人は子どもではない。外見は幼児のようでも、歳は人間でいう100歳をとうに超えていたりする。もちろんそれだけ歳をとっているわけだからそれなりに知識はある。まあ、偏ってはいるが。
「おい、おまえたち」
「なんじゃ?」
 同じクラスの和希、直太が天使と悪魔の前に立っていた。 
「おまえたち2人をオレたちの仲間にしてやってもいいぞ」
「仲間になってどうするのじゃ?」
「オレの言うことを聞くんだ」
「ほお、それはつまらんの」
 天使は、いつの間にか女の子や男の子に囲まれて本を読んでいる悪魔の傍に座る。後ろで和希がギャーギャー言っていたが聞かないことにした。

「ただいまー」
 家に帰ると天使と悪魔が出迎えてくれた。2人の顔を見る限り、幼稚園は楽しかったようだ。これを教えてくれたの、と言って不器用ながらも折ったであろう折り鶴を見せてくれた。初めてならもっと簡単なものを折ればいいと思うのだが。
 幼稚園での話を聞いていると、急に天使がムスッとした。
「そういえば和希、直太とかいうのがおったの」
「幼稚園の友達か?」
「……男の子。彼の言葉、てんちゃんのかん…障った、らしい…」
 天使の代わりに悪魔が和希という男の子について教えてくれた。
「あぁ、ガキ大将みたいなやつか。いるよなぁ」
 悪魔の話によると、直太は和希の連れみたいなものらしい。天使はまだムスッとしている。
「気に入らないのはわからないこともないけど、ケンカは程々にしろよ?」
 笑いながら言った。ケンカするのはいいことだけども、天使の場合、やり過ぎてしまいそうなので注意しておいた。
 その日はずっと天使の頬が膨れていた。

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ものごとを『おもしろい』か『おもしろくない』かで分けてる“へなちょこりん”です
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家族に言わせれば『しゃべりだすとおもしろい』らしい
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