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<西>
「なんかさあ。絶対にまた何かあったよな」
「そりゃ、何かはあっただろ」
「何、倉本、寂しいの?」
からかうように言うと倉本は、図星だったのか、違えよ! と焦りながら返した。
今日の昼休みのこと。あの小山が声を上げて、これ以上ないというくらいに笑っていた。それから、宮守には若干挙動不審なところがあった。
あの場では僕たち三人とも驚いてわけがわからなかったけど、あとになってあの三人の間で『また』何かがあったのだと気付いた。普段から周りとのズレが多少見られるとはいえ、小山に変化が起こるときは決まって宮守と寺岡が絡んでいたからだ。今回ばかりはどうも宮守のほうに変化があったみたいだけど。
僕たちが小山、宮守、寺岡の三人と仲良く過ごす時間はたしかに増えている。一緒にいて、会話して、少しふざけ合うのも不思議に感じる人はいない。今ではもう当たり前のことだ。でも、それは『学校の中』での話。一歩『外』に出てしまえば、小山たちとの関係は他のクラスメイトたちと何ら変わらないように思えた。現にこの下校中も小山や宮守、寺岡の姿はなくいつもの三人だけ。今まで一度たりとも放課後が一緒になったり、どこかへ遊びに行ったりなんてことはなかった。
そう感じてしまうのはきっと、あの三人の関係性がより特別だからなのだろう。それは僕たちとは違う関係の築き方をしているからこその『特別』で、言ってしまえば小山たちに限らず築き方が違えば全てがそうであって、それを段階丸無視して自分も同じようにありたいというのはおこがましいことではないだろうか。僕と倉本、八巻の関係だって周りからすれば特別に見えるはずだ。なんて。
とはいえ、倉本の気持ちがわからないではない。かくいう僕も時々羨ましく思うことがある。八巻も同じだろう。
ならば、どうすればいいのか。
「ねえ、今度さ、小山たち誘って何かする?」
簡単な話、こちらから行動を起こせばいいってところに落ち着くよね。
僕の提案に二人とも、ナイスアイデア! と、言うより先に顔に出ていた。目は口ほどに物を言うって言葉があるけど、二人は顔に出るほうが早いのかな。
「いいな、それ!」
「何で今までやってこなかったのか」
「本当にね」
最初に悩んでいたことなんかすっかり頭から飛んだ様子の倉本は、まだ全く予定が立っていないというのに、今から待ち遠しいのかそわそわし始めている。あれもいい、これもいいとやりたいことをどんどん挙げていっているのを見ると、余程遊びたかったらしい。本当に早く気付けばよかった。
「変に外で遊ぶより家のほうよかったりする?」
「勉強とか?」
「あー、あー、聞こえなーい」
「俺も耳が痛い……あ、外しでゲームとかどうよ?」
ゲームか。宮守と寺岡はしそうだけど、小山はする……のだろうか。小山とゲームとか、組み合わせて想像できそうにないんだけど。でも、八巻も『外しで』と言っていたし、
「逆に?」
「逆に」
まあ、小山たちが問題なかったらあり、かな。
みんなで遊べるようなパーティーゲームは倉本が持っていたし、それにゲーム機もコントローラーも三人が持ち寄ればなんとかなりそうだった。あとは小山たちの予定を聞いて日程を調整して、
「じゃあ、西ん家な!」
「倉本の家な」
「倉本の家ね」
「二対一とか卑怯じゃね? てゆーか、うち散らかってるし!」
決まったらとりあえず倉本の部屋の片付けかな。倉本は、無理! って言う。無理じゃない。少しはちゃんと片付いた部屋で生活したらどうなの。
大方まとまってきたところで小山たち三人に連絡を入れた。割とすぐに返事がきて、次の日には学校で、いつ遊ぼうかと話し合った。
こうやって、僕たちは僕たちのやり方で仲良くなっていけばいい。焦る必要なんかない。いつか、あの三人だけを見て羨ましいと思うことも薄れていくはずだと僕は信じている。
「なんかさあ。絶対にまた何かあったよな」
「そりゃ、何かはあっただろ」
「何、倉本、寂しいの?」
からかうように言うと倉本は、図星だったのか、違えよ! と焦りながら返した。
今日の昼休みのこと。あの小山が声を上げて、これ以上ないというくらいに笑っていた。それから、宮守には若干挙動不審なところがあった。
あの場では僕たち三人とも驚いてわけがわからなかったけど、あとになってあの三人の間で『また』何かがあったのだと気付いた。普段から周りとのズレが多少見られるとはいえ、小山に変化が起こるときは決まって宮守と寺岡が絡んでいたからだ。今回ばかりはどうも宮守のほうに変化があったみたいだけど。
僕たちが小山、宮守、寺岡の三人と仲良く過ごす時間はたしかに増えている。一緒にいて、会話して、少しふざけ合うのも不思議に感じる人はいない。今ではもう当たり前のことだ。でも、それは『学校の中』での話。一歩『外』に出てしまえば、小山たちとの関係は他のクラスメイトたちと何ら変わらないように思えた。現にこの下校中も小山や宮守、寺岡の姿はなくいつもの三人だけ。今まで一度たりとも放課後が一緒になったり、どこかへ遊びに行ったりなんてことはなかった。
そう感じてしまうのはきっと、あの三人の関係性がより特別だからなのだろう。それは僕たちとは違う関係の築き方をしているからこその『特別』で、言ってしまえば小山たちに限らず築き方が違えば全てがそうであって、それを段階丸無視して自分も同じようにありたいというのはおこがましいことではないだろうか。僕と倉本、八巻の関係だって周りからすれば特別に見えるはずだ。なんて。
とはいえ、倉本の気持ちがわからないではない。かくいう僕も時々羨ましく思うことがある。八巻も同じだろう。
ならば、どうすればいいのか。
「ねえ、今度さ、小山たち誘って何かする?」
簡単な話、こちらから行動を起こせばいいってところに落ち着くよね。
僕の提案に二人とも、ナイスアイデア! と、言うより先に顔に出ていた。目は口ほどに物を言うって言葉があるけど、二人は顔に出るほうが早いのかな。
「いいな、それ!」
「何で今までやってこなかったのか」
「本当にね」
最初に悩んでいたことなんかすっかり頭から飛んだ様子の倉本は、まだ全く予定が立っていないというのに、今から待ち遠しいのかそわそわし始めている。あれもいい、これもいいとやりたいことをどんどん挙げていっているのを見ると、余程遊びたかったらしい。本当に早く気付けばよかった。
「変に外で遊ぶより家のほうよかったりする?」
「勉強とか?」
「あー、あー、聞こえなーい」
「俺も耳が痛い……あ、外しでゲームとかどうよ?」
ゲームか。宮守と寺岡はしそうだけど、小山はする……のだろうか。小山とゲームとか、組み合わせて想像できそうにないんだけど。でも、八巻も『外しで』と言っていたし、
「逆に?」
「逆に」
まあ、小山たちが問題なかったらあり、かな。
みんなで遊べるようなパーティーゲームは倉本が持っていたし、それにゲーム機もコントローラーも三人が持ち寄ればなんとかなりそうだった。あとは小山たちの予定を聞いて日程を調整して、
「じゃあ、西ん家な!」
「倉本の家な」
「倉本の家ね」
「二対一とか卑怯じゃね? てゆーか、うち散らかってるし!」
決まったらとりあえず倉本の部屋の片付けかな。倉本は、無理! って言う。無理じゃない。少しはちゃんと片付いた部屋で生活したらどうなの。
大方まとまってきたところで小山たち三人に連絡を入れた。割とすぐに返事がきて、次の日には学校で、いつ遊ぼうかと話し合った。
こうやって、僕たちは僕たちのやり方で仲良くなっていけばいい。焦る必要なんかない。いつか、あの三人だけを見て羨ましいと思うことも薄れていくはずだと僕は信じている。
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ものごとを『おもしろい』か『おもしろくない』かで分けてる“へなちょこりん”です
外ではA型、家ではB型と言われます(*本当はB型)
家族に言わせれば『しゃべりだすとおもしろい』らしい
寒天と柑橘が大好きです^^
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