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<啓太>
たくちゃんが、家に帰りたくないって言って、たくちゃんのお兄ちゃんが迎えに来た次の日の学校。おはよう、って言ったたくちゃんの顔はすっきりと笑っていた。
「仲直りできたの?」
「うん、もう大丈夫」
昨日のたくちゃんとたくちゃんのお兄ちゃんを見ていて思ったことがある。僕にお兄ちゃんができて今ではお兄ちゃんのことが大好きだけど、でも、やっぱりたくちゃんみたいに血の繋がった本当のお兄ちゃんがいるのとは違うのかな。本当のお兄ちゃんじゃないのに『お兄ちゃん』って呼ぶのは変なのかな。
「ねえ、たくちゃん……」
急に不安になってたくちゃんに聞いてみた。そしたら、たくちゃんはきょとんってした顔になったけど、すぐに首を振って、変じゃないよって言ってくれた。
「本当?」
「本当だよ。だって」
うちも同じ感じだもん。
たくちゃんが話してくれたのは『はなちゃん』っていう人のことだった。お兄ちゃんやたくちゃんの一番のお兄ちゃんと同い年で、ずっと前にたくちゃんのお兄ちゃんがお家に連れてきたらしい。その頃のたくちゃんはまだ赤ちゃんで、だからたくちゃんにとっては血が繋がってなくて一緒に暮らしてなくても『はなちゃん』は家族と同じだった。少し大きくなると、夜には『はなちゃん』が別の、自分の家に帰ることが不思議になって、寂しくて泣いたこともあったってたくちゃんは言った。
「僕が花ちゃんを僕のお姉さんって思うのも、けいちゃんが聡太さんをけいちゃんのお兄さんって思うのと同じだと思う。だから、全然変じゃない」
ね! ってたくちゃんが笑って言ってくれた。
そうかなあ?
そうだよ!
何回も何回もたくちゃんは頷いてくれて、そうしたら自信がちょっとずつ戻ってきて、嬉しくなって、えへへって、顔が段々にやけてきちゃった。それを見たたくちゃんが、聡太さん、僕のお兄さんにもなっちゃうかもって言うから、ダメ! お兄ちゃんは僕のお兄ちゃんだもん! って慌てて止めた。
「けいちゃん、いいなってずっと言ってたもんね。お兄さんができてよかったね!」
「うん!」
その日の夜、どうしても聞きたいことがあって、仕事から帰ってくるお兄ちゃんを僕は待っていた。おかえり、ってお兄ちゃんをお迎えすると、いつもはもう部屋で寝ている時間に僕が起きているからお兄ちゃんはびっくりした顔で僕を見た。
「啓太、どうしたの?」
「あのね、今日、たくちゃんとお話ししてね、それで……」
お兄ちゃんにも、お兄ちゃんっていた?
お兄ちゃんも僕と同じで一人っ子。僕の質問に最初はよくわからない顔をしていたお兄ちゃんだったけど、いたよって答えてくれた。どんな人? どんな人? って興味津々の僕は続きを欲しがる。
「すごく口が悪くて、すぐに手が出るような人だった」
「え! 怖い人?」
思ってなかった言葉が返ってきて心配する僕とは反対にお兄ちゃんは笑って続けた。
「でも、僕を助けてくれて、すごく優しい人だったよ」
「……そうなの?」
うん、って頷いたお兄ちゃん。
僕もお兄ちゃんのお兄ちゃんに会ってみたいなあ。あ、でも、僕には怖い人だったらどうしよう。お兄ちゃんが一緒なら大丈夫かな。
「僕もお兄ちゃんのお兄ちゃんに会える?」
「いつかね」
もう遅いから寝ようか、って言ったお兄ちゃんに、満足した僕は、おやすみって言って自分の部屋へ上がった。
たくちゃんが、家に帰りたくないって言って、たくちゃんのお兄ちゃんが迎えに来た次の日の学校。おはよう、って言ったたくちゃんの顔はすっきりと笑っていた。
「仲直りできたの?」
「うん、もう大丈夫」
昨日のたくちゃんとたくちゃんのお兄ちゃんを見ていて思ったことがある。僕にお兄ちゃんができて今ではお兄ちゃんのことが大好きだけど、でも、やっぱりたくちゃんみたいに血の繋がった本当のお兄ちゃんがいるのとは違うのかな。本当のお兄ちゃんじゃないのに『お兄ちゃん』って呼ぶのは変なのかな。
「ねえ、たくちゃん……」
急に不安になってたくちゃんに聞いてみた。そしたら、たくちゃんはきょとんってした顔になったけど、すぐに首を振って、変じゃないよって言ってくれた。
「本当?」
「本当だよ。だって」
うちも同じ感じだもん。
たくちゃんが話してくれたのは『はなちゃん』っていう人のことだった。お兄ちゃんやたくちゃんの一番のお兄ちゃんと同い年で、ずっと前にたくちゃんのお兄ちゃんがお家に連れてきたらしい。その頃のたくちゃんはまだ赤ちゃんで、だからたくちゃんにとっては血が繋がってなくて一緒に暮らしてなくても『はなちゃん』は家族と同じだった。少し大きくなると、夜には『はなちゃん』が別の、自分の家に帰ることが不思議になって、寂しくて泣いたこともあったってたくちゃんは言った。
「僕が花ちゃんを僕のお姉さんって思うのも、けいちゃんが聡太さんをけいちゃんのお兄さんって思うのと同じだと思う。だから、全然変じゃない」
ね! ってたくちゃんが笑って言ってくれた。
そうかなあ?
そうだよ!
何回も何回もたくちゃんは頷いてくれて、そうしたら自信がちょっとずつ戻ってきて、嬉しくなって、えへへって、顔が段々にやけてきちゃった。それを見たたくちゃんが、聡太さん、僕のお兄さんにもなっちゃうかもって言うから、ダメ! お兄ちゃんは僕のお兄ちゃんだもん! って慌てて止めた。
「けいちゃん、いいなってずっと言ってたもんね。お兄さんができてよかったね!」
「うん!」
その日の夜、どうしても聞きたいことがあって、仕事から帰ってくるお兄ちゃんを僕は待っていた。おかえり、ってお兄ちゃんをお迎えすると、いつもはもう部屋で寝ている時間に僕が起きているからお兄ちゃんはびっくりした顔で僕を見た。
「啓太、どうしたの?」
「あのね、今日、たくちゃんとお話ししてね、それで……」
お兄ちゃんにも、お兄ちゃんっていた?
お兄ちゃんも僕と同じで一人っ子。僕の質問に最初はよくわからない顔をしていたお兄ちゃんだったけど、いたよって答えてくれた。どんな人? どんな人? って興味津々の僕は続きを欲しがる。
「すごく口が悪くて、すぐに手が出るような人だった」
「え! 怖い人?」
思ってなかった言葉が返ってきて心配する僕とは反対にお兄ちゃんは笑って続けた。
「でも、僕を助けてくれて、すごく優しい人だったよ」
「……そうなの?」
うん、って頷いたお兄ちゃん。
僕もお兄ちゃんのお兄ちゃんに会ってみたいなあ。あ、でも、僕には怖い人だったらどうしよう。お兄ちゃんが一緒なら大丈夫かな。
「僕もお兄ちゃんのお兄ちゃんに会える?」
「いつかね」
もう遅いから寝ようか、って言ったお兄ちゃんに、満足した僕は、おやすみって言って自分の部屋へ上がった。
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ものごとを『おもしろい』か『おもしろくない』かで分けてる“へなちょこりん”です
外ではA型、家ではB型と言われます(*本当はB型)
家族に言わせれば『しゃべりだすとおもしろい』らしい
寒天と柑橘が大好きです^^
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