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<花>
小山くんって、実はけっこうモテるのでは?
と、気付いたのはつい最近で。クラスの女の子、というよりは部活仲間の女の子からそういえばそんな話をよく聞く。
「花のクラスに転校してきた男子、かっこいいよねえ」
同じクラスの友達が、でも割と冷たいよと言っても、それはそれでありと答える女の子が大多数。彼女たちの中では『クール』だと置き換えられるらしい。うん、あたしも別に冷たいわけじゃないと思うなあ。
なんでも、そのクールさも小山くんの外見があってこそらしい。体型は、たしかにすらっとしているけど、とはいえ少し細過ぎな気もするような。あとは顔かな。顔なのかな。告白もどきされたときにドキッとはした。……うーん、でもあたしにはよくわかんないや。
と言えば、
「あー、花はねー、そうだよねー……うん、しょうがない」
苦笑いされた。
「花ってどうやって小山くんと仲良くなったの?」
「どうやってと言われても」
ただ話しかけただけなんだけどなあ。
修くんが一緒にいたことは大きいけど、やっぱり自分から話しかけて少しずつ仲良くなっていくしかないのではないだろうか。思えば最初の雑な当たりから見事なコミュニケーションの進化を遂げたよ。口数がそんなに多くないのは相変わらずでも一緒にいることは増えたし、小山くんと番号交換できたし、小山くんのバイト先も発覚したし。今度修くんたちとお店へ食べに行こうっと。
小山くんを好きな女の子たちから、いいなあ、いいなあと羨ましがられる。小山くんの話になるとだいたいこんな感じ。だから羨ましいならみんなも話しかければいいのに。最初の頃に比べると、断然話しかける難易度は下がっているはずだ。
それにしても、もどきとはいえ、こんなに女の子から好かれる小山くんに告白された事実って、もしかしてものすごくとんでもないことなのでは!?
――なんて思っちゃったので、本人に突撃しました。珍しく小山くんと二人でお弁当です。
単刀直入に、小山くんってモテモテだねと言ったら、そうなの? と不思議な顔をされた。よく考えれば『モテる』って客観的な評価だと気付いてあたしは質問を変える。
「告白されたりはないの?」
「……付き合ってとか、好きって言われたことはあるけど」
おお! とあたしは思わず食い付いた。けど、次の、でも全部断ったという言葉に新たな展開はなくなった。
「店の手伝いに時間割きたいし、付き合うってよくわからないし。そもそも興味がない」
「なるほど」
自分から話を振っておいてどうなんだって感じになるけど、あたしも正直興味がない。他に楽しいことがあるから恋愛にまで回す余裕がなくて、所謂ガールズトークが始まるとよく浮く。それはもうよく浮く。友達はあたしの様子がおもしろいからそれでいいって言うけど、やっぱりそういうものに興味を持ったほうがいいのだろうか。なかなかハードル高いなあ。
よし。この手の話は続かなさそうだから別の話題引っ張ってこよう。
「ねえ、小山くん。こっちに引っ越してくる前で何かおもしろいことあった?」
あまり深入りしたことがなかったから謎に包まれた転校前の小山くん。デリケートな部分に触れなければ大丈夫。大丈夫、たぶん。
「何か……そういえば」
意外にも嫌な顔一つせずに答えてくれた。
「頻繁に手紙みたいなものが入ってた。机とか、ロッカーの隙間とか」
「あ! それあたしも入ってたことある!」
差出人が不明だから返事のしようがないんだよね、と小山くんが言って、そう! と興奮気味に頷く。
あたしのは男の子っぽいカクカクした字とか、崩れてフニャンってなった字とか。シャーペンや、ボールペンでも黒で、ルーズリーフなんかが多かった。たぶん男の子! 一方の小山くんは便せんが多かったらしい。たぶん女の子だ! 男の子と女の子の差!
「その手紙、小山くんはどうしてるの?」
「……こっちに来るときに全部処分した」
「そっかあ」
そう言うあたしも全てなくしました。
思いがけずかつてないほど盛り上がった話題の中心であるその手紙の意味を、小山くんはともかく、あたしが理解することはこの先もずっとなかったりするのでした。
小山くんって、実はけっこうモテるのでは?
と、気付いたのはつい最近で。クラスの女の子、というよりは部活仲間の女の子からそういえばそんな話をよく聞く。
「花のクラスに転校してきた男子、かっこいいよねえ」
同じクラスの友達が、でも割と冷たいよと言っても、それはそれでありと答える女の子が大多数。彼女たちの中では『クール』だと置き換えられるらしい。うん、あたしも別に冷たいわけじゃないと思うなあ。
なんでも、そのクールさも小山くんの外見があってこそらしい。体型は、たしかにすらっとしているけど、とはいえ少し細過ぎな気もするような。あとは顔かな。顔なのかな。告白もどきされたときにドキッとはした。……うーん、でもあたしにはよくわかんないや。
と言えば、
「あー、花はねー、そうだよねー……うん、しょうがない」
苦笑いされた。
「花ってどうやって小山くんと仲良くなったの?」
「どうやってと言われても」
ただ話しかけただけなんだけどなあ。
修くんが一緒にいたことは大きいけど、やっぱり自分から話しかけて少しずつ仲良くなっていくしかないのではないだろうか。思えば最初の雑な当たりから見事なコミュニケーションの進化を遂げたよ。口数がそんなに多くないのは相変わらずでも一緒にいることは増えたし、小山くんと番号交換できたし、小山くんのバイト先も発覚したし。今度修くんたちとお店へ食べに行こうっと。
小山くんを好きな女の子たちから、いいなあ、いいなあと羨ましがられる。小山くんの話になるとだいたいこんな感じ。だから羨ましいならみんなも話しかければいいのに。最初の頃に比べると、断然話しかける難易度は下がっているはずだ。
それにしても、もどきとはいえ、こんなに女の子から好かれる小山くんに告白された事実って、もしかしてものすごくとんでもないことなのでは!?
――なんて思っちゃったので、本人に突撃しました。珍しく小山くんと二人でお弁当です。
単刀直入に、小山くんってモテモテだねと言ったら、そうなの? と不思議な顔をされた。よく考えれば『モテる』って客観的な評価だと気付いてあたしは質問を変える。
「告白されたりはないの?」
「……付き合ってとか、好きって言われたことはあるけど」
おお! とあたしは思わず食い付いた。けど、次の、でも全部断ったという言葉に新たな展開はなくなった。
「店の手伝いに時間割きたいし、付き合うってよくわからないし。そもそも興味がない」
「なるほど」
自分から話を振っておいてどうなんだって感じになるけど、あたしも正直興味がない。他に楽しいことがあるから恋愛にまで回す余裕がなくて、所謂ガールズトークが始まるとよく浮く。それはもうよく浮く。友達はあたしの様子がおもしろいからそれでいいって言うけど、やっぱりそういうものに興味を持ったほうがいいのだろうか。なかなかハードル高いなあ。
よし。この手の話は続かなさそうだから別の話題引っ張ってこよう。
「ねえ、小山くん。こっちに引っ越してくる前で何かおもしろいことあった?」
あまり深入りしたことがなかったから謎に包まれた転校前の小山くん。デリケートな部分に触れなければ大丈夫。大丈夫、たぶん。
「何か……そういえば」
意外にも嫌な顔一つせずに答えてくれた。
「頻繁に手紙みたいなものが入ってた。机とか、ロッカーの隙間とか」
「あ! それあたしも入ってたことある!」
差出人が不明だから返事のしようがないんだよね、と小山くんが言って、そう! と興奮気味に頷く。
あたしのは男の子っぽいカクカクした字とか、崩れてフニャンってなった字とか。シャーペンや、ボールペンでも黒で、ルーズリーフなんかが多かった。たぶん男の子! 一方の小山くんは便せんが多かったらしい。たぶん女の子だ! 男の子と女の子の差!
「その手紙、小山くんはどうしてるの?」
「……こっちに来るときに全部処分した」
「そっかあ」
そう言うあたしも全てなくしました。
思いがけずかつてないほど盛り上がった話題の中心であるその手紙の意味を、小山くんはともかく、あたしが理解することはこの先もずっとなかったりするのでした。
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ものごとを『おもしろい』か『おもしろくない』かで分けてる“へなちょこりん”です
外ではA型、家ではB型と言われます(*本当はB型)
家族に言わせれば『しゃべりだすとおもしろい』らしい
寒天と柑橘が大好きです^^
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