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「……ゆづ、自転車」
「自転車?」
聞き返したあとにいつもと違うところに気付いた。
「あれ? 天使は?」
悪魔と一緒にいるはずの天使がいない。辺りを見てみると、少し開いているドアの影に隠れていた。
出てくればいいのに出てこない。不思議に思った由鶴は悪魔に聞いてみた。すると悪魔は幼稚園であったことを話始めた。

幼稚園に自転車がある。前から置いてあった自転車に急に興味が湧いた2人は、友達から乗り方を教えてもらった。数が少ないので悪魔、天使の順で乗ることに。

「ボク、乗れた。……でも、てんちゃん乗れな、かった」
なるほど。それで昨日の晩は妙に静かだったのか。
「あー、でも自転車あったかなぁ……」

「あるわよ、自転車」
何でこんなに物持ちがいいんだこの家は。
母さんが言ったとおり、倉庫の奥にあった自転車を引っ張り出して、今河原に来ている。千鶴も一緒に来た。
「とりあえず後ろ掴んでるからこいでみな」
「……てんちゃん、ふぁい、と!」
軽快に、とは言えないが走り出した。ヨロヨロしながらこいでいたのが大分良くなったので手を放してみたら、見事に横に倒れた。
「う……痛い。だから放すなと言ったではないか!」
膝を擦りむいたがまだ頑張るようだ。千鶴にばんそうこうをはってもらい、自転車に乗った。次から放すときは前もって言っておこう。

30分ほど練習をしたら10m走られるようになった。周りが少し暗くなってきたので今日はこれで止めることにした。
「あと少しだな」
「……てんちゃん、がんば、った」
まだ自転車に乗られないことが悔しいのかしょぼんとしている。「また明日頑張ればいいじゃないか。それに千鶴は小学2年生まで乗れなかったんだし」
由鶴が意地悪そうに千鶴に言うと頬を赤くして膨らませた。
「そうだったのか……」
「た、たしかにそうだったけど、今はもう乗れるもん!」
兄に文句を言ったあと、天使のほうを向いて、
「だからさ、シロちゃんも乗れるようになるよ、きっと」
ね。笑顔でそう言うと天使に明るさが戻った。
「うむ!」
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家族に言わせれば『しゃべりだすとおもしろい』らしい
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