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「あと行きたいところは?」
公園で弁当のおにぎりを食べながら由鶴が天使と悪魔に尋ねる。
最後の日ということで朝から2人の行きたいところを回って、それから迎えのフーとムーがいる人気のない神社に行く予定だ。もちろん母さんと千鶴との別れの挨拶は済んでいる。ちなみに由鶴は今朝、いつもと同じように天使と悪魔に飛び乗られて起こされた。今までで一番勢いがあって痛かった。
「うーん……」
午前中で思い出がありそうな河原や幼稚園は回った。たぶん全部回りきった。けれどまだあったようで、2人が揃って口にする。
「ゆづの学校!」
「却下」
たちまちブーイングが起こる。学校まで遠いわけではないが、学校を往復して更に神社まで行くとなると待ち合わせの時間に間に合わなくなるのだ。
「ないなら神社に行くぞ」
「いじわるー!」
「意地悪じゃない」
食べ終わった弁当を仕舞い、歩き出した。さっきよりもゆっくりとした歩調で。

「遅い!」
着いた途端ムーに叩かれた。たしかに途中で何回か寄り道して時間に遅れた由鶴たちが悪いのだが、なにも叩くことはないのにと由鶴は思った。以外に痛かったのだ。
「……いた、い」
今度は悪魔がムーに仕返しする。小競り合いが始まってしまった。互いの悪口を言いながら睨み合っている。これは一向に終わりそうにない。そこで天使が止めに入るついでにムーを叩く。
「まったく、ムーもあーちゃんも止めんか」
「……てんちゃん」
「痛いな!」
ムーは小突かれた後ろ頭を擦る。相変わらず喧嘩をするムーにはあ、とフーが溜め息を吐いた。
「もうお別れは済まされましたか?」
天使と悪魔が黙った。
「……やっぱり帰りたくないのう」
悪魔がこくんと頷いた。そして帰りたくないという言葉に過敏に反応するフーとムーは冷や汗を流す。
「何言ってんだ」
由鶴がそう言うと天使と悪魔は顔を上げた。
「またいつでも来ればいいよ。母さんや千鶴も言ってただろ?」
それでもまだ不満そうな2人の頭を撫でてやる。粗っぽいがそこは我慢してほしい。
な? と言ったあと、渋々だが首を縦に振った。
「ゆづ……また来るからの!」
「……あり、がと」
「うん。じゃあな」
いつもの笑顔に戻って手を振りながら飛んでいく天使と悪魔。由鶴も手を振る。いろいろ楽しかったなあとか、寂しくなるなあと思いながら。
見送り終わった由鶴は少しだけ寂しくなった自分の家に帰っていった。
「またな……」
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