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「やっぱシロちゃんいいよなー」
 授業が終わって突然呟かれた。話を聞いていると、どうやらシロちゃんとは生徒にも親身で授業もおもしろい先生らしい。想像力があまり上手く働かない聡太にこれだけの情報で人物像をはっきりさせるのは少々無理がありそうだ。
「なあ、小山はどうよ?」
 どうかと言われても誰なのかわからないのに答えようがない。素直に誰なのか尋ねると白樺先生と返ってきた。白樺のシロと、下の名前の史郎のシロをかけて『シロちゃん』になったとのことだった。
 白樺先生……。聞いたことがあるような、ないような。
 愛称にはなるほどと納得した。けれど、どれだけ頭を回しても話題のシロちゃんに該当する人物が浮かびあがらない。
「……誰?」
 聡太の言葉に周りにいたみんなが愕然とした。この反応を見るに余程のことのようである。
「誰って……うちの担任じゃん」
 今度は聡太が驚く番だった。思わず、え、と口からこぼれる。
「本当に知らなかったの?」
 首を縦に振る。ちなみに先程まで授業をしていたのも白樺である。だからこそ白樺の話題が出てきたわけであるのだが。それだけにみんな呆れ顔だった。
「他の先生はまあいいとして……いや、よくはないけどさ、せめて担任くらいは覚えとこうぜ」
「そうする」
 ああ、そうか。あの先生はそんな名前だったっけ。
 さすがに顔は知っていたが、何せ用があるときは『先生』と呼べば済むのだから名前をしっかり聞いていなかったのだ。
 転校してから約二ヶ月が経った今日この日、聡太は初めて担任の名前を覚えた。

 あとでノートを集めてきてくれ。
 日直である聡太ともう一人とが向かうのは職員室ではなく理科室。ドアを開けると夕日が差すその静かな部屋で机に突っ伏している白樺の姿が見える。あれは寝ているに違いない。近くまで寄れば寝息が聞こえた。
「何生徒にノート運ばせといて寝てるんだよ、先生」
 声をかけられて目を覚ました白樺は半ば寝ぼけ眼でこちらをじっと、恨めしそうに見る。
「せっかくの昼寝タイムを邪魔すんなよなあ」
「シロちゃんが持って来いって言ったんでしょうが。それに今は昼じゃなくてもう夕方」
 漸く状況が掴めてきた白樺は、悪かったなと謝った。場所が理科室だったのは職員室の机の上が散乱しているからだという。片付ければいいのではないだろうか。
 聡太たちからノートを受け取り二人の分を開いてパラパラと軽く流し見る。テストの前になるとこうして生徒のノートをチェックして、抜けている箇所があれば丁寧に補足を入れて返される。白樺が生徒に好かれている理由の一つだ。
「おまえ、ここわかってないだろ?」
「えへへ、バレた?」
 白樺が手招きをして呼ぶ。一対一で簡単な個別授業が始まった。日直でノートを運んだりすればもれなく直接細かく教えてくれるというのを聞いたことがある。本当だったのか。
「小山は理系科目の成績がいいよな。好きか?」
「嫌いじゃないです」
 そう言うと、ニカッと満足そうに笑った。
「ノートはきれいにまとめてあるし、テストもちゃんと点が取れてるしな。俺はおまえみたいな奴が入ってきてくれて嬉しいよ」
 白樺が聡太の頭を乱暴に撫でた。まさしく男のものだと思わせる大きくて骨ばった手は思いの外気持ちがよくて、妙に安心する。
「ん。無理に笑ってるよかこっちのほうが好きだな、やっぱ」
 最後にポンポンと軽く叩いて頭から手をのけた白樺に聡太はポカンとする。すると白樺の言葉を聞いていたクラスメートが反応して、
「あー! シロちゃんセクハラ!」
「いろんな意味で違うわ、馬鹿!」
 何だろう、これは。
 ずっと外側から関わろうとしなかった世界に今、自分がいる。
 ――もっといろんなものを見たほうがいい。
 もしかしたら。桔平が言っていたのはこのことなのかもしれない。白樺とクラスメートが喧嘩をしているのを見ながら、ふとそう思った。
 そして、聡太が白樺の名前を知らなかったと聞かされて彼が肩を落とすのはもう少しあとのことであった。
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 帰る支度を済ませ、残っているスタッフに一声かけて店を出ようとしたときだった。
「あ、小山。お疲れー」
「お疲れさまです」
 声をかけられて、しまったと思ったがもう遅い。お先に失礼しますと帰ろうとした聡太の肩を彼女はガシッと掴んだ。わざと聞こえるように聡太が舌打ちをすると、案の定、生意気だと言って頭に手刀が落とされた。
「こんなに可愛がってんのに舌打ちってどういうこと?」
 顔を覗き込んできた彼女は、聡太がアルバイト先でお世話になっている先輩の伊豆貴恵だ。何かと聡太を気にかけてくれいる。覗き込んできたおかげで見えた彼女の顔は、一見笑っているが本当は怒っているに違いない。それでも、まあいいわと肩から手を退けた。
「それより、ここに来て二ヶ月過ぎたけど。どう? 慣れた?」
「はあ、慣れるも何も」
 仕事するだけですし。
 聡太は勉強に支障が出ない程度でできるだけ多くシフトを入れている。これもひとえに布美の家にいる時間を削るためではあるが、働く時間が多くて、その上以前にも似た経験をしていたこともあり仕事を覚えるのは早かった。いつも時間があれば聡太を構っている貴恵には聞かずともわかっているだろうに。
 不思議がっていると急に貴恵が吹き出した。そして腹を抱えて笑い出す。気持ちの良いくらい豪快な彼女の笑い方は周りから好かれているが、何故今笑っているのかがわからず、聡太は怪訝そうに貴恵を見る。今の発言に笑いどころがあったとは思えない。
「いやいや。仕事ができてるのは知ってるよ。仲間とうまくやってるのか聞いたつもりだったんだけど」
「そうですか」
 ひとしきり笑って落ち着いたのかと思えば聡太の返しを聞いてまた笑い出した。本当に、どこに笑いのつぼがあるのだろう、この人は。
 少しして今度こそ落ち着いた。さすがに笑い過ぎたのか、腹が痛くなったようでさすっている。
「それにしてもさあ。よく表と裏で顔を分けるよねえ。疲れない?」
 両頬をつまんで引っ張られる。止めてくださいと抗議するも放してはくれない。
「普段から笑ったらいいのに。福が逃げてくぞー?」
 それまで貴恵にされるがままだった聡太が手を払った。自然ともう一方の手も離れていく。
「そんなの、とっくになくなってるから関係ないです……」
 じんじんとした、地味な頬の痛みを感じながら呟いた。急にしおらしくなった聡太を見て心配になった貴恵が、泣くなよと優しく頭を撫でる。泣いてませんと聡太は可愛げもなく返した。聡太の言う通り涙は見えない。けれど貴恵には泣いているように見えたのだ。
「よし、今度からお姉さんがほっぺをつまんで福を分けてやろう!」
「けっこうです」
 きっぱりと断った。

 雨の日には帰宅すると必ずタオルが玄関に用意されている。今日も濡れた体を拭いていると、おかえりなさいという布美の声が聞こえた。
 啓太はもう寝ている。アルバイトを終えて帰るのはいつもこのくらいの時間だ。
 そういえば、先月初めて給料をもらったときに布美と初めて口論になった。内容は給料を布美が受け取るか受け取らないかだった。お金が目的で働いているわけではない聡太にとって給料としてもらう金額は正直多い。だから、居候しているということもあり布美に必要な額を除いたお金を渡しておこうと思ったのだ。それを布美が拒否した。
 もらってください。もらえない。
 じりじりと。互いに目を見つめ合って数秒。布美が先に目を逸らした。ため息と共に、わかったわと折れる。一時的に預かるということだったが、もらってくれればそれでいい聡太は布美の言葉がほとんど耳に入っておらず曖昧な返事をした。
 もしかして給料をもらう度に同じやり取りをしなければならないのだろうか。そう考えると今から疲れそうだ。
 早く支度を済ませて寝てしまおうと二階へ上がると、ちょうど部屋から出てきた啓太と鉢合わせた。何を話すでもなく、過剰に驚いた啓太は再び慌てて部屋へ戻っていった。
こんにちはあ^^
約1ヶ月ぶりの更新ですね…
こんなんだから来る人も減るわけですよ わかってますとも!!
…え、内容のせいですか??

ま、まあ それはともかくとして!
実は1週間ほど家事でアップアップしておりました
水仕事もするからあっという間に手が荒れるっていう、ね!!!
お湯が沁みました…;;
今日はその間に作ったご飯を上げていきますよー


カキフライと付け合わせの野菜 (揚げました!)
わかめと卵のスープ (たくさん具が入ってますよお)
じゃがいものきんぴら (醤油入れ過ぎて…)
タルタルソース (食べる前に気付いて慌てて作りました)


ハンバーグと付け合わせの野菜 (1個はチーズ入れてみました)
おみそ汁 (汁物は具だくさんが好きなんです)
もやしの和え物 (つゆとマヨネーズです)


さけのホイル焼き (いい感じに野菜がしなんとなりました)
おみそ汁 (この日はお麩のおみそ汁です)
焼き豆腐 (ごま油で和えたキャベツとにんじんを添えてます)


ハヤシライス (玉ねぎ4つも使っちゃいました)
ブロッコリーとレタス (ブロッコリーのゆで時間が少なかった…)
スクランブルエッグと市販のウインナー、ナゲット (スクランブルエッグは弟が作りました)

他のおうちの晩ご飯事情を知らないので何とも言えませんが
みなさんのおうちの晩ご飯ってどんななんですか??
テレビのドラマとかで見る分には、自分の作った料理がお粗末に見えないでもない
しかも、なんだか、もう、最後のご飯に至っては手抜きとしか言いようがない気がするw
普段は残りものとかで作ることが多いので(しかも1人分)、一からというのは難しいものですねえ…
いつも手伝ったりとかはするんですけどね
いざとなるとこんなんですよ

とりあえず、料理における女子力はない(笑

いや、まあ他の面でもないですけど! ないですとも!!(泣
20歳目前にして化粧の1つもしませんしねえ…←←
今年成人式だった1つ上の先輩の写真を見て、男子がほとんどわからなかったんですよ
女子はかろうじてわかったんですけど、あれはなかなかにショックですよね
来年の自分の番の時が今から怖すぎて…
正直、頭痛いですorz


おまけで昼ご飯用のスパゲティ


カップスープのポタージュを使ったスープスパ風
具はベーコン玉ねぎと、前日の残りの山盛り千切りキャベツにプラスして葉と芯を1枚分
スパゲティ50グラムなんですけど、けっこうお腹にきました
ご飯ものとか麺料理とか、1人前って書いてあるのって1人で食べる分には多く感じるんですけど、
え、わたしだけじゃないですよね??


こっちはハヤシライスのルーの残りで作ったやつです
具はブロッコリーとキャベツとにんじんとえのき
あとはルーに入ってたお肉などなど
これもスパゲティは50グラムですね
少し味が濃かった
というか、いっそのことスープっぽくじゃなくてソースっぽくでよかった
でもおいしかったです 満足(´∀`*)
長さを半分に折っているので食べやすかったですよ^^

あと、父さんがお腹の調子が悪いと言うので、硬さも味もすごくお腹に優しい感じのおじやを作りました
味の濃さはあのくらいがちょうどいい
こんにちはあです^^
先週、この冬初めて積もった雪を触りました
もう19歳だというのにまだ雪でテンションが上がるtsubakiですw
ちなみに先週末の我が家の晩ご飯はたこ焼きでした
たこが無難においしいのですけど、チーズとかもいけますよ
たこ焼きのときは決まってわたしが焼いてます(・ω・´)

さて、と
最近は小説のほうの更新がメインになってるっぽく見えますが、絵も描いてますよー!!
…というアピールのため、ここで落書きを投下
ドーンッ!!

    
   

左上は一発書きみたいな感じです
だから、しゃがませようかと思ったら失敗して座らせたっていう…←
右上は技師の兄妹っていう設定
あと3人ほどキャラがいるんだけど描けなくて断念←←
下の段に下りまして
左は懐かしの(?)天使と悪魔ですよー! 覚えてますか―??
一人称が『ワシ』の天使と『ボク』の悪魔ですよー!
最初は絵本用で2等身でしたがリメイクしてみました
フーとムーもいじりました
…って、こっちの2匹はupした記憶が……
ま、まあ、とにかく
こんな感じです もうちょい幼くしてもいいかもしれない
羽はちっちゃくもなります
ラストは初のup! 今書いている小説の聡太と修と花です
お節介2人に捕まって迷惑している聡太の図(笑
わたしの中ではこんな感じです
他にも叔母の布美と従兄弟の啓太、修の弟妹の成と照と拓と陸、そんでまだ出てないけど貴恵と桔平はできあがってる
詰め襟とセーラーはただ単にわたしの趣味←
制服はブレザーより詰め襟とセーラー派なんだ
だからどうしたっていう、ね
あとは女子でいうとワンピースのタイプの制服も好きです
かわいいですよねえ(´∀`*)
自分が似合うかどうかというのはまた別の話になりますけども!

そんなわけで、

修と花にからまれている(?)聡太が主人公の小説はただいま10話まで更新しています!

まだ1学期終わらないとか…(´Д`;)
い、いや、でもですね!
書き直し前のよりかはペース早いんですよ??
ただ、何話で終わるのかはわたしにもわかりません
1つだけ言えるのは、天使と悪魔の話ほどは続きません
40話越えはないです
あれは1話完結で1年企画みたいな感じで書いてましたからねえ
今回のは一体何年計画になるのやら……←

 教室の風景がすっかり変わったと感じた。一歩踏み入れるとクラスメートの視線が自分に集中し、そしてすぐに何もなかったかのように友達との会話が再開される。中には聡太への悪口を口にする者もいたが初めてのことではないから気にならない。経過は違うものの、当初聡太が望んでいた形になっていた。……そのはずなのに、
「おはよう、小山!」
「おは、よ……?」
 声をかけられたのはどうやら自分のようで、戸惑いながらも何とか返事をする。聡太の目の前には三人のクラスメートがいた。一体何が起こったというのだ。更には三人共に頭を下げて謝ってくるものだから、いよいよ聡太の頭はパニックを起こす。
「最初はやっぱりびっくりしてさ、正直『騙された!』って感じだったんだけど」
「怒鳴ったの見て、むしろ前より人間らしさが増したというか。俺らと近いってわかったというか」
「まあ、勝手に勘違いしてたのは僕たちなんだけどね。……小山、大丈夫?」
 突然の告白に頭がついていかない。ぼーっとする。
「何で……」
「だからさ、前よりも仲良くなりてえなって思ったの」
「今のが好きだよな」
 周りが頷く。顔が、湯気の出るくらい熱くなっているような気がする。きっと耳まで真っ赤になっていることだろう。聞いていて恥ずかしい。彼らは自分が口にしている言葉に羞恥はないのだろうか。
「……そう」
「あれ、小山、照れてる?」
 からかうように言われたものだから、うるさいと返した。小さくて力のない声だった。だから笑われたのだけれど、何故だろう。不思議と嫌ではない。自分でも知らないうちに聡太も口元に笑みを携えていた。
 改めてできた友達との談笑の中、背中になんだか生温かい視線を感じて後ろを向く。予想はしていたが、やはり修と花だ。すっかり破顔したその表情は保護者のような感情からきているのかもしれない。言い方は悪いが、正直うっとうしい。
 一方で、このようにしてくれたのは間違いなく彼らだということは認めている。修や花、話しかけてくれるクラスメートが変わっているのだと思いはするが、聡太だけだと何も変わらなかったに違いない。
 両親を亡くしたショックで無愛想のままでいれば疎まれて誰も寄ってはこなかった。
 しばらくして、逆に愛想よく振る舞っていればそれなりに人が寄ってくるようにはなった。ただ、その関係は環境が変われば解消され、少しでも素を出せばたちまちに敬遠される程度のものだった。だからこそ聡太にも未練などというものがなかったのだが。
「小山くん、ご飯食べよう?」
 何気ないやり取りでさえ聡太にとっては奇妙なもので。あのときからずっと諦めていたもので。心の奥が温かくなる気がして。
 まだ全てを受け入れきれはしないだろうけれど、いつか、そんな日が来るのだろうか。
 伏せたままの両親との写真を、今日くらいは久しぶりに立ててもいい。立てられていれば気が動転してすぐさま倒していたのに、そう思えるような気分だった。
「そういえば、来週あたりから雨マークがいっぱいあったよ」
「そろそろ梅雨入りかもな」
 梅雨。雨。そうか。
「おーい、小山ー?」
 どこか遠くを見つめていた聡太の目の前で修が手を振った。記憶の中の雨の景色が一変する。現実には気持ちのいい青空が広がる。
「大丈夫か?」
「ん、何でもない」
 賑やかさの増した昼休み。若干の湿り気を帯びた風は少しぬるく感じた。
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家族に言わせれば『しゃべりだすとおもしろい』らしい
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